米労働省は12日に3月の消費者物価指数(CPI)を発表し、市場予想の5.2%に対して5.0%を予想を下回りました。ただし変動の大きいエネルギーと食品を除いたコアCPIは5.6%と依然として高水準にあること、また家賃の上昇が続いていることからFRBは次回のFOMCで追加利上げを実施する可能性が高くなっています。
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米3月消費者物価指数(CPI)
12日、米労働省が3月の消費者物価指数(CPI)を発表しました。前年同月比は5.0%で市場予想の5.2%を下回り、前月の6.0%からも大きく下がり2021年5月以来の穏やかな伸びになりました。エネルギーと食品を除いたコアCPIが5.6%だったことから、エネルギーと食品の価格下落が全体を押し下げた事が分かります。ただしエネルギー価格は最近になり再度上昇傾向にあることから、今後のCPIの下落傾向が抑制される可能性もあります。3月シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻でFRBはいったん利上げを停止するとの観測がありましたが、いまだインフレ圧力は継続しており、5月のFOMC会合で追加利上げに動く公算が大きいとみられます。
バイデン大統領は、前年比インフレ率の急激な鈍化は「国民がほっと一息つける余地がさらに生まれた」ことを意味すると述べました。ただ、全てのインフレ指標は依然としてFRBが目標とする2%の2倍以上の水準にあります。
BMOキャピタルのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「総合インフレの落ち着きは、FRBに一定の安心感を与えるだろう。エネルギー価格は下落、食品は横ばいとなり、インフレ期待押し下げに寄与する見通しだ」と述べました。同時に「サービスのインフレは依然高止まりしており、主にタイトな労働市場の状況が要因だ」と述べています。
部門別にみると、ガソリンは前月比4.6%下落。また食品は0.3%下落し、2020年9月以来、2年5ヶ月ぶりにマイナスに転じました。卵の価格は10.9%急落、肉や果物、野菜も下落しました。一方、外食関連は上昇しました。
持ち家の帰属家賃は0.5%上昇。ただ、伸びは前月の0.7%上昇から鈍化し、昨年4月以来の小幅な伸びにとどまりました。
単独の指標では、家賃は下落傾向にあることから、住宅インフレは沈静化が続くと予想されます。CPIの家賃指標は単独指標に遅行する傾向があります。家賃上昇の鈍化により、ゴールドマン・サックスのエコノミストは6月の利上げ予測を撤回しました。
EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「住宅需要の急減を背景に住宅コスト上昇が大幅に鈍化するため、今後数カ月は強いディスインフレ圧力が働くことを示唆しています。減速がいったん始まれば、下方サプライズがあるかも知れない」と述べました。
家賃の上昇鈍化により、サービスは0.3%上昇と、2月の0.5%上昇から伸びが縮小しました。住居費関連を除くサービスは横ばい。前月は0.1%上昇でした。
航空運賃は4.0%上昇。エネルギー価格は下落したものの、賃金の上昇や春の旅行需要が反映されたとみられます。宿泊費も大きく上昇しました。
エコノミストの試算によると、当局者がインフレ抑制の進捗を測る上で注目している住宅以外のコアサービスは0.4%上昇。2月は0.5%上昇でした。