移動平均線とFXトレード
移動平均線はFXトレードだけでなく、株式トレードや先物トレードなど様々なトレードで利用される、最も有名で使用頻度の高いテクニカル指標です。移動平均線は当日から遡ったある一定期間の終値の平均値をグラフ化したもので、移動平均線の方向性から相場のトレンドを判断したり、ローソク足との位置関係や短期の移動平均線と中・長期の移動平均線との交差(クロス)などによって売り・買いのタイミングをはかったりと多様な使われ方をされます。
移動平均線の歴史は古く1920年代にアメリカで使われ始めたようです。日本では移動平均線がローソク足にからむ事が多いため、「からみ足」とも呼ばれていました。移動平均線は100年近くの歴史を持ち、チャート分析の中でも最も古い手法のひとつですので、そのバリエーションも多くあります。今回は代表的な移動平均線の種類とその特徴、計算方法などを案内していきたいと思います。
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単純移動平均線
単純移動平均線とは、一定期間の終値を単純に平均化しグラフにしたものです。たとえば期間を5日だとすれば「5日単純移動平均線」といった呼び方をします。期間が15日であれば「15日単純移動平均線」といったぐあいです。
それでは5日単純移動平均線を例に計算方法を説明します。もちろん計算方法は知らなくてもチャートソフトでは自動的にチャートに表示してくれますが、計算方法を知っているのと知らないのとでは、テクニカル指標を理解するうえで大きな違いが出てきますので、どのような計算がされているのかは理解しておいたほうが良いでしょう。
ある通過ペアの7日分の終値が以下のようだったとします。
1日目 110円 2日目 112円 3日目 114円 4日目 115円 5日目 114円 6日目 116円 7日目 115円
まず1日目から5日目までの5日間の終値の平均値を計算します。
( 110円 + 112円 + 114円 + 115円 + 114円 )÷ 5 = 113円
となり5日目の単純移動平均の値は113円になります。
次に2日目から6日目までの5日間の終値の平均値を同様に計算すると114.2円になり、3日目から7日目までの5日間の終値の平均値を計算すると114..8円になります。このように計算していき、それぞれの値を線で結ぶと単純移動平均線が作成されます。
下の画像はドル円の日足チャートに5本単純移動平均線を表示させたものです。
指数平滑移動平均線
指数平滑移動平均線は、単純移動平均線よりも直近のレートに比重をおいた移動平均線です。10日前のレートよりも1日前のレートのほうが、チャートを分析するさいには大事といった考え方です。指数平滑移動平均線は直近のレートに比重をおいていますので、単純移動平均線よりも直近の相場の動きに早く反応します。そのためトレンドの転換の動きを早くつかみやすいといったメリットがありますが、早く反応しすぎるがためにトレードサインが出ても、相場はそのサインとは逆方向に動いていく「ダマシ」と呼ばれる反応が多くなるといったデメリットも存在します。
それでは5日指数平滑移動平均線を例に計算方法を説明します。単純移動平均線と同様にある通過ペアの7日分の終値が以下のようだったとします。
1日目 110円 2日目 112円 3日目 114円 4日目 115円 5日目 114円 6日目 116円 7日目 115円
指数平滑移動平均線では最初に「平滑指数」という定数を求める必要があります。平滑指数の計算式はn日間の指数平滑移動平均を求める場合
平滑指数 = 2 ÷ ( n + 1 )
となります。今回は5日指数平滑移動平均線なのでnに5を代入すると
平滑指数 = 2 ÷ ( 5 + 1 ) = 0.3333・・・
となります。ここでは計算の都合上、平滑指数は0.33として計算していきます。
まずは1日目から5日目までの5日間の終値の平均値を計算します。単純移動平均と同じ計算ですが、これが指数平滑移動平均線の最初の値になります。計算した値は113円です。次に6日目の計算方法ですが以下の計算式で計算します。
前日の指数平滑移動平均の値 + 平滑指数 × ( 当日終値 - 前日の指数平滑移動平均 )
この計算式に代入していきます。前日の指数平滑移動平均は113円、平滑指数は0.33、当日の終値(6日目の終値)は116円ですので
113円 + 0.33 ×( 116円 - 113円 ) = 113.99円
7日目以降も同様の計算で求めていきます。7日目の指数平滑移動平均は
113.99+0.33×(115円-113.99円)=114.32円
となります。そしてそれぞれの値を線で結ぶと指数平滑移動平均線が作成されます。
下の画像はドル円のドル円の日足チャートに5日単純移動平均線と5日指数平滑移動平均線を表示させたものです。赤線が5日単純移動平均線で、青線が5日指数平滑移動平均線です。平滑移動平均線の方が直近のレートに敏感に反応しているのがわかるかと思います。
平滑移動平均線
平滑移動平均線は指数平滑移動平均線から派生した移動平均線で、指数平滑移動平均線の値の変化をよりなだらかにしたものです。直近に大きな値動きがあってもそれほど敏感に反応しませんのでダマシが少なくなるのがメリットです。逆に相場の動きに対して反応が遅れトレンド転換の動きをとらえにくいといった、指数平滑移動平均線とは反対の特徴をもっています。
それでは5本平滑移動平均線を例に計算方法を説明します。単純移動平均線と同様にある通過ペアの7日分の終値が以下のようだったとします。
1日目 110円 2日目 112円 3日目 114円 4日目 115円 5日目 114円 6日目 116円 7日目 115円
平滑移動平均線でも指数平滑移動平均線と同様、最初に「平滑指数」を求める必要があります。平滑指数の計算式はn日間の指数平滑移動平均を求める場合
平滑指数 = 1 ÷ n
となります。今回は5日平滑移動平均線なのでnに5を代入すると
平滑指数 = 1 ÷ 5 = 0.2
となります。そしてあとの計算方法は指数平滑移動平均と同じです。
まずは1日目から5日目までの5日間の終値の平均値を計算します。ここも指数平滑移動平均と同じで最初の値は単純移動平均と同じですので113円です。6日目も指数平滑移動平均と同じ計算式です。
前日の指数平滑移動平均の値 + 平滑指数 × ( 当日終値 - 前日の指数平滑移動平均 )
この計算式に代入していきます。前日の指数平滑移動平均は113円、平滑指数は0.2、当日の終値(6日目の終値)は116円ですので
113円 + 0.2 ×( 116円 - 113円 ) = 113.6円
7日目以降も同様の計算で求めていきます。7日目の指数平滑移動平均は
113.6+0.2×(115円-113.6円)=113.88円
となります。そしてそれぞれの値を線で結ぶと平滑移動平均線が作成されます。
下の画像はドル円のドル円の日足チャートに5本単純移動平均線、5日指数平滑移動平均線、5日平滑移動平均線を表示させたものです。赤線が5日単純移動平均線で、青線が5日指数平滑移動平均線、黄線が平滑移動平均線です。平滑移動平均線は他の移動平均線に比べて動きがなだらかになっているのが分かると思います。
移動平均線を利用したトレードの例を以下のページの「テクニカル分析とシステムトレード」の項目で説明しておりますので参考にされてください。
加重移動平均線
加重移動平均線は指数平滑移動平均線と同様に過去のレートよりも直近のレートに比重をおいた移動平均線です。指数平滑移動平均線との違いは、指数平滑移動平均線が直近のレートに特に大きな比重をおいているのに対して、加重移動平均線は過去から直近に向かって徐々に比重を重くしています。加重移動平均線も指数平滑移動平均線と同じくトレンドの転換の動きを早くつかみやすいメリットがありますが、一方でダマシが多いデメリットがあります。加重移動平均線の計算式は以下のようになります。
n日加重移動平均線の場合
[(当日の終値 × n) + {前日の終値 × (n-1)} + {前々日の終値 × (n-2)} + ・・・ + {(n-1)日前の終値 × 1)] ÷ {(n + (n - 1) + (n-2) + ・・・ + 1)}
少々計算式が複雑に思えるかもしれませんので計算例で見てみます。
それでは5日加重移動平均線を例に計算方法を説明します。単純移動平均線と同様にある通過ペアの7日分の終値が以下のようだったとします。
1日目 110円 2日目 112円 3日目 114円 4日目 115円 5日目 114円 6日目 116円 7日目 115円
まずは1日目から5日目までの5日間の加重移動平均を求めますが、直近の5日目の終値に5を掛けます。次にその前の4日目の終値には4、3日目の終値には3、2日目の終値には2、1日目の終値には1をそれぞれ掛けます。そしてそれらを全て足します。
(114円×5)+(115円×4)+(114円×3)+(112円×2)+(110円×1) = 1706
となります。そしてこの数値を、(5 + 4 + 3 + 2 + 1 )= 15で割ります。
1706 ÷ 15 = 113.73円
これが5日目の加重移動平均です。同様にして6日目と7日目を計算すると、6日目は114.73円、7日目は115円となります。そしてそれぞれの値を線で結ぶと加重移動平均線が作成されます。
下の画像はドル円のドル円の日足チャートに5本単純移動平均線、5日指数平滑移動平均線、5日平滑移動平均線、5日加重移動平均線を表示させたものです。赤線が5日単純移動平均線で、青線が5日指数平滑移動平均線、黄線が平滑移動平均線、紫線が加重移動平均線です。加重移動平均線は指数平滑移動平均線と似たような動きになりますが、トレンドが強い相場では、より傾きが強くなる特徴があります。
MT4 EAにおける移動平均線
MT4 EAにおいても移動平均線は非常に良く使われます。使い方としては主に「トレンドの強さを見る」、「トレードのタイミングを見る」といったものです。これまでいくつかの種類の移動平均線を説明してきましたが、「この移動平均線を使うのが一番良い」といったはっきりしたものはありません。それぞれの移動平均線にメリットとデメリットがありますので、その移動平均線のメリットを生かしつつ、デメリットを補助するために別なテクニカル指標を使ったり、逆に別なテクニカル指標のデメリットを補助するために移動平均線が使われたりします。どの種類の移動平均線を使ったほうが良いかは、そのMT4 EAの戦略によって異なります。
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