FXトレードでのスワップポイント
スワップポイントとは、FXトレードで得られる利益のひとつで、2国間の通貨の金利差のことを言います。通常、FXで得られる利益は売買の差額によるものが知られており、例えば100円で購入した米ドルが101円になった時に売った場合、1ドルあたり1円の利益を得られることになります。1万ドル保有していたとしたら、1万円の利益です。このような資産を売買することで得られる利益のことをキャピタルゲインとも言います。
スワップポイントは資産を売買することで得られるものではなく、資産を保有していることで得られる利益であり、銀行に預金をして利息を得るのと同じだとお考えください。このように資産を保有して得られる利益のことをインカムゲインとも言います。
今回はスワップポイントの特徴について説明していきます。
なお、当社はMT4 EAの開発を専門に手がける会社ですが、当社が作成するMT4 EAはスワップポイントを得ることを目的に作られたものではありませんが、スワップポイント以上の売買差益(キャピタルゲイン)を狙って作成されております。MT4 EAにご興味のあるかたは以下のボタンから無料EAをご取得ください。
スワップポイントの仕組みと計算方法
なぜFXトレードをすることでスワップポイントが発生するのか、その仕組みと計算方法を説明します。
スワップポイントは各通貨の金利の差のことです。米ドルの金利が年利3%で日本円の金利が年利1%だとすると、金利差が2%あります。金利の低い日本円で金利の高い米ドルを買った場合はこの金利差である2%分がスワップポイントとしてもらえることになります。
例えば1ドル100円で1万ドル(100万円相当)を1年間保有した場合のスワップポイントは100万円の2%である2万円となります。スワップポイントは銀行の利息のように年に一度付与されるのではなく、基本的に毎日付与されますので、1日当たり付与されるスワップポイントは2万円を365日で割ったものとなり、その額は約58円になります。
ただし、スワップポイントは一律ではなくFX会社によって異なります。その理由はのちほど「FX会社によってスワップポイントが異なる理由」の項目で説明いたしますが、どのFX会社もこのような計算によって得られた金額をもとにして、各社独自のスワップポイントを設定しています。
スワップポイントが付与される条件
スワップポイントは通貨を保有し続けているかぎり毎日もらえますが、スワップポイントをもらうには条件があります。
FXにはニューヨーククローズと呼ばれる時間があります。ニューヨーククローズとはニューヨーク市場が一日の取引を終了する時間のことで、通常は日本時間午前7時です(米国夏時間の期間は日本時間午前6時)。このニューヨーククローズの時間を挟んでポジションを保有していればスワップポイントが付与されます。
ですので午前7時の数秒前にポジションを保有し、午前7時を過ぎてすぐにポジションを決済した場合、ポジションを保有している時間は1分にも満たないのですが、この場合もスワップポイントは付与されます。逆に午前7時直後にポジションを保有し、翌日の午前7時の直前にポジションを決済した場合、ポジションの保有時間は23時間以上ありますが、スワップポイントは発生しません。
つまりポジションの保有時間に関係なく、ニューヨーククローズの時間を挟んでポジションを保有しているかどうかが、スワップポイントをもらえる条件になるのです。
ただし、この条件はFX会社によって微妙に異なります。例えば「午前7時から数分間保有している」「午前6時55分から10分間保有している」「午前6時50分から午前7時10分まで保有している」などといった具合です。詳細については、ご自身が利用するFX会社に問い合わせ確認するのが良いでしょう。
通貨ペアによるスワップポイントの差
スワップポイントは2国間の通貨の金利差で計算されますので、通貨ペアの種類によって付与されるスワップポイントには差が出てきます。付与されるスワップポイントが一番大きくなるのは、最も金利の低い国の通貨で最も金利の高い国の通貨を購入する場合です。以下の表は代表的な国の金利をまとめたものです。
2017年10月現在、一般的なFX会社で購入できる通貨ペアの中で最もスワップポイント大きいものはトルコのリラという通貨と日本円のペア(TRY/JPY)で、スワップポイントはトルコリラを1万通貨購入した場合、FX会社によって違いはありますが1日当たり80円~110円ほどを付与しているFX会社が多いようです。仮に1日あたり100円だとすると年間では36,500円のスワップポイントになります。
現在1トルコリラは日本円で30円ほどですから1万通貨は30万円分になります。30万円分のトルコリラに対して年間36,500円のスワップポイントがつくのですから、年利は
36,500円 ÷ 300,000円 ≒ 12.2%
となります。日本の銀行の普通預金の金利が0.1%にも満たないことを考えると相当な高金利であることが分かります。
スワップポイントの3倍デー
スワップポイントは週に一度、3日分付与される日があります。それはなぜかというと、スワップポイントは土曜日も日曜日も貰えるからです。土日はFX市場が休みになりますが、その2日分が一緒に付与される日があるので以下に説明します。
スワップポイントの3倍デーは、ほとんどのFX会社が水曜日か木曜日に設定しています。しかし、FX会社によっては月曜日が3倍デーになっていたりしますので、詳細を知りたい場合はご自身が取引しているFX会社に問い合わせて確認されたほうが良いでしょう。
なおMT4を採用しているFX会社の場合はMT4の画面上で確認することが可能です。以下の画像をごらんください。
MT4の通貨ペア一覧の中でどれでも良いので適当な通貨ペアを右クリックします。すると選択ウインドウが表示されますので「仕様」をクリックします。そうすると以下の画像のように、その通貨ペアの取引条件が表示されます。
通貨ペアの取引条件の中に画像の赤枠のように「3日分のスワップ」と書かれた項目があります。この画像では「水曜日」と書かれていますので水曜日がスワップポイントの3倍デーです。
スワップポイントはニューヨーククローズタイムを挟んで保有していれば付与されることは先ほど説明いたしました。スワップ3倍デーの場合もポジションを保有している時間に関わらず、ニューヨーククローズタイムを挟んでいれば、仮にそれが数秒間の保有であっても3日分付与されます。
スワップポイントのデメリット
スワップポイントは保有しているかぎり必ず毎日得ることができますが、そこにはデメリットも存在します。
まずは為替リスクによるデメリットです。先ほど高金利通貨であるトルコリラと低金利通貨である日本円の通貨ペア(TRY/JPY)の場合、1万通貨当たり毎日100円ほどのスワップポイントが得られることを説明いたしましたが、100円は為替レートに換算するとわずか1pipに過ぎません。
つまり1リラ30円で購入したトルコリラが29.99円に下がっていればスワップポイントで得られた利益はチャラになってしまいます。FXでは通貨のレートが1日に100pips以上変動することも多々ありますので、スワップポイントだけを考えて取引していると思わぬ損失をこうむる場合もあります。
こういった損失を避けるために二つの方法があります。ひとつは、為替の変動による損失をおぎなえるほど長期間ポジションを保有し続けることです。さきほどのトルコリラを例にとって説明します。
1トルコリラ30円の時に1万通貨分(30万円分)を購入し保有します。スワップポイントは1日当たり100円とすると1年間保有し続ければ36,500円の利益です。トルコリラ/円のレートは5年前は45円ほどだったものが現在は30円まで下落したので直近の5年間で15円下落しました。
仮に今後5年で同じ程度レートが下落すると仮定すると、現在30円のトルコリラが5年後には15円になっています。
保有資産は30万円から15万円に目減りしています。15万円の損失です。その間のスワップポイントは
36,500円 × 5年 = 182,500円
ですので、差し引き32,500円のプラスになっています。つまりこれだけ長く保有することができれば、為替変動のリスクを差し引いても利益が出ている可能性が高くなります。
もうひとつの方法は、購入する通貨が値上がるタイミングで購入することです。例えば1トルコリラ30円で1万通貨分(30万円分)購入したものが、1年後に31円(1万通貨で31万円)になっていれば、為替の売買差益が1万円出ています。スワップポイントの36,500円とあわせると46,500円の利益です。
しかし通貨が値上がるタイミングを正確にとらえる事は非常に難しいことです。FX初心者の方は、その通貨が大きく下落したタイミングで購入すれば、これ以上はあまり下がらないだろうと考えるかもしれませんが、このような考え方は非常に危険です。その一例を紹介します。
2007年7月アメリカでサブプライムショックと呼ばれる出来事が起こりました。サブプライムショック直前124円ほどをつけていた米ドル/円(USD/JPY)はその後1ヶ月ほどで117円直前まで暴落しました。その後数日間で120円近くまで値を戻したので、多くのFXトレーダーがこれ以上は下がらないと判断し米ドルを購入しました。
しかし、2007年9月にリーマンショックが起こります。ドルは一気に下落し2011年10月には1ドル75円台にまで下落し、1ドル120円に戻ったのは2007年9月から7年後の2014年12月のことです。この間にスワップトレーダーと呼ばれるスワップポイントを狙ったトレーダーのほとんどは大きな損失を出し撤退したようです。
なぜならば、為替の売買差益を狙うトレーダーは米ドルが下落する相場では、ドルを売って円を買い、円が上昇(円高状態)したところで決済すれば、利益を得ることができます。
しかしスワップポイントで利益を得るスワップトレーダーは、必ず金利の高いほうの通貨を購入しなければなりません。2007年当時も米ドルのほうが日本円よりもかなり高金利だったため、米ドルを購入しなければならなかったのです。
通貨のレートがこれ以上下がらないというポイントを正確に判断するのは、非常に難しいことなのです。
FX会社によってスワップポイントが異なる理由
スワップポイントは2国間の通貨の金利差によって発生するものですから、どのFX会社も同じだと思われがちですが、実際はFX会社によってバラバラです。以下の画像をご覧ください。
表は米ドル/円の1万通貨あたりの各社のスワップ表です。米ドル/円は米ドルの方が高金利ですので、日本円で米ドルを買った時にはスワップポイントがもらえます(買いスワップ)。逆に米ドルで低金利の日本円を買う(ドル売り円買い)の場合は金利差分を払わなければなりません(売りスワップ)。
もらえるスワップが一番大きいのはA社の53円で一番少ないのはG社の2円です。ドル売りによって払わなければならない「売りスワップ」の金額が一番大きいのはG社で-57円、一番金額が小さいのはF社で-24円です。
なぜこのようにスワップポイントに差が出てくるかというと、各社の経営方針によるものが大きいです。スワップポイントを他社よりも大きく設定しているA社はスワップポイントの大きさで顧客を呼び込もうという戦略が見えます。本来の金利差よりも多く設定している分はFX会社が支払います。つまりは他社よりも多いスワップポイントは顧客を呼び込むための広告費のようなものです。
逆にスワップポイントが金利差よりも小さな会社は、その分のコストを他のサービスにあてている場合が多いようです。たとえばサーバーを補強して速く安定した取引を実現させているなどです。
実はこの買いスワップと売りスワップのFX会社による違いを利用して、安全にかつ確実にスワップポイントを得られる方法があります。
例えばA社で米ドル円を1万通貨購入すれば毎日53円のスワップポイントがもらえます。しかし先ほど説明したように、必ず為替の変動リスクにさらされることになります。そこでA社で米ドルを買ったと同時にもっとも売りスワップの低いF社で1万通貨分の米ドルを売ります。つまりF社で米ドルの反対売買を行うのです。以下の画像をご覧ください。
A社で米ドルを買ったら、ほとんど同時にF社では米ドルを売ります。FX会社が異なると同じ通貨ペアでもわずかにレートが異なる場合がありますが、ほとんど無視してよい程度の誤差です。
このようにすれば米ドルが仮に10円下落した場合、買いポジションを持っているA社では含み損として10万円出ていますが、売りポジションを持っているF社では10万円の含み益が出ています。差し引きでチャラになっています。
スワップポイントはというと、A社では毎日53円がもらえF社では毎日24円が引かれます。差し引き29円が毎日の利益になります。このようなトレードを行えば、為替リスクを心配することなく毎日必ずスワップポイントによる利益を得ることが可能になります。
ただこのトレードにも注意が必要になります。スワップポイントは基本的に毎日わずかながら変動するFX会社が多いので、後々A社の買いスワップよりもF社の売りスワップが上回ることがあるかもしれません。その場合はすぐにそれぞれのポジションを決済し得られたスワップポイントの利益を確定させなければなりません。その後はまた買いスワップが最大になるFX会社と売りスワップが最小になるFX会社の組合せでトレードを開始します。
このように毎日必ずポジションを保有しているFX会社のスワップポイントをチェックして、損失につながらないかを確認する必要があります。
スワップポイントとMT4 EA
MT4 EAのほとんどは、売買差益によって利益を得ることを目的としています。私の知るかぎりスワップポイント狙いのMT4 EAは存在しません。
スワップポイントは毎日得られる確実性はありますが、その金額は売買差益によって得られるものに対しては非常に小さなものです。売買差益を得られるのであれば、あまりスワップポイントを意識する必要はないでしょう。
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