パラボリックSARでのFXトレードとEA

2017年09月19日

パラボリックSAR(Parabolic Stop And Reverse)とは、相場のトレンドの方向をはかるテクニカル指標でありSAR(Stop And Reverce)がチャート上に点で放物線を描くことからパラボリック(放物線)と呼ばれています。最近はMT4で使えるパラボリックSARのEAも多く作成されており、FXトレーダーの間ではトレンドの方向が確認できる指標として人気があります。

パラボリックSARの誕生と基礎知識

パラボリックSARとはRSIの開発者として知名度の高いアメリカのテクニカルアナリストであるJ.W.ワイルダーによって考案され、現在のトレンドの方向が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかをチャート上に表示される点で確認できるテクニカル指標です。トレンドの方向はチャート上に表示されるSARの位置により決まります。

下降トレンドが発生しているときのSARの点はローソク足の上に表示され、上昇トレンドが発生しているときのSARの点はローソク足の下に表示されます。トレンドの転換もひと目で判断できるのがパラボリックSARの大きな特徴です。

パラボリックSARの全体説明

パラボリックSARでのFXトレード

パラボリックSARを使用することで現在のトレンド方向とトレンドの転換ポイントが分かります。トレンドが転換するタイミングでトレンドに合わせてポジション保有するのがパラボリックSARを活用したFXトレードの基本になります。

以下画像はMT4の日足チャートとなりますのでご覧ください。黄色矢印の位置でパラボリックSARがローソク足の下側に表示されました。これは下降トレンドが上昇トレンドに転換したことを表しているため買いポジションを入れる合図になります。

その後、青色矢印の位置でパラボリックSARがローソク足の上側に表示されました。これは上昇トレンドが下降トレンドに変わったことを表しますので、保有ポジションを決済して、売りポジションを保有しましょうという合図になります。

以上がパラボリックSARの基本取引になりますが。このような取引は実用的ではなく、常にポジション保有がおこなわれてしまうので、ここからは最適なパラボリックSARでの取引方法を案内していきます。

パラボリックSARの買いと売り

以下画像のMT4の日足チャートをご覧ください。パラボリックSARは黄色矢印の位置(点が下に表示)では買い、青色矢印の位置(点が上に表示)では売りというルールですが、全ての取引で損失が発生しています。これはパラボリックSARがトレンドがコロコロ変化する「持ち合い相場」を得意としていないことが原因です。この問題は持ち合い相場を避けて取引を実行すれば解決します。

パラボリックSARの持ち合い相場

持ち合い相場を避けるには日足チャートに加えて、相場全体の流れが把握できる週足チャートを使用します。以下の左側画像はMT4の日足チャート、右側はMT4の週足チャートです。

日足チャートの黄色矢印の位置でSARの点が上部に表示され下降トレンド(売りサイン)となっていますが、週足チャートではSARの点が下部に表示されており上昇トレンドとなっています。つまり相場全体の流れは上昇トレンドであるが、日足チャートは売りのサインを発信しているという状態です。このような相場状況でポジションを保有はすると、損失が発生しやすいのでポジション保有は避けた方が良いでしょう。

取引してはいけないパラボリックSAR

以下画像は別のMT4の日足チャートとMT4の週足チャートになります。日足チャートの黄色矢印の位置でSARの点が下側に表示され、上昇トレンドとなり買いトレードのサインとなりました。週足チャートの同ポイント(青色矢印)でもSARの点が下側にあるので上昇トレンドとなっています。日足チャートと週足チャートの両方が上昇トレンドであれば利益獲得の確率が高くなるためポジション保有を考えてみるのが良いでしょう。

取引すべきパラボリックSAR

次は以下画像を見ながらポジション保有と決済までの一連の流れを説明します。日足チャートの黄色矢印の位置で上昇トレンドとなり、週足チャートも上昇トレンドとなっているので買いポジションを保有します。ポジション保有中に日足チャートの青色矢印の位置で下降トレンドとなりましたが、週足チャートは上昇トレンドと示しているのでポジションを保有し続けることにします。その後、日足チャートのSARが上昇トレンドなり利益を重ねていきました。そして、日足チャートの赤色矢印の位置で下降トレンドに入ったので決済をおこない利益を確定させます。パラボリックSARを活用した代表的な取引手法については以上となります。FXトレードの参考になれば幸いです。

パラボリックSARのポジション保有と決済

パラボリックSARを使った損切り方法

パラボリックSARを使った損切り方法を解説しますので以下画像のMT4の日足チャートと週足チャートをご覧ください。

日足チャートの黄色矢印の位置でSARの点が上側に表示され、下降トレンドとなり売りトレードのサインとなりました。週足チャートをみても下降トレンドであるため売りポジションを保有しました。時間の経過とともに日足チャートの青色矢印の位置で上昇トレンドに入りましたが、週足チャートが下降トレンドを示しているため決済せずに売りポジションを保有し続けますが、上昇トレンドが継続してしまうと損失が膨らむため損切ポイントを設定します。

損切ポイントは、日足チャートの黄色矢印のエントリーにあるSARの点の位置になります。この点を基準に右に線を引き、上昇トレンドに変化した後のローソク足にぶつかったポイントを損切りの位置とします。このような損切ルールであれば、損切のポイントが明確となり確実な損切が実行できます。

パラボリックSARでの損切りポイント

パラボリックSARの複雑な計算ロジック

パラボリックSARを数値化するには、前日のSARとEP(Extreme Price = 極大値)、AF(Acceleration Factor = 加速因子)の数値が必要になります。また、パラボリックSARの計算は複雑なため特に覚える必要はありません。

パラボリックSARの計算方法を案内してきます。以下MT4の日足チャート画像のポイントAを基準とした場合、黄色矢印の点が前日のSARの値になります。

前日のSAR

次にEP(Extreme Price = 極大値)です。以下MT4の日足チャート画像の黄色矢印の位置をご覧ください。EPは、パラボリックSARが下降トレンドであれば最安の値、パラボリックSARが上昇トレンドであれば最高の値になります。

EP(Extreme Price)

EPは以下MT4の日足チャート画像のように最高値や最安値が更新されるたびに値も更新されます。

パラボリックSARの値の更新

AF(Acceleration Factor = 加速因子)を説明していきます。AFとは、ステップ(step)と上限(maximum)から計算され、ステップは通常「0.02」で上限は「0.2」となっています。計算式は「AF=ステップ× EPが更新された回数」です。

EPの説明項目で最高値(最安値)が更新されるたびにEPの値が更新されることを説明しましたが、EPが更新されるとステップに設定している数値がAFに追加されていきます。ただしAFは上限(maximum)で設定した値までしか増加しません。それでは上昇トレンドとなっている例で詳細を案内していきます。

それでは以下の表画像をご覧ください。1日目の高値にステップの設定値0.02が入りAFは0.02になります。2日目は前日の最値を付けたのでEPが更新、ステップ0.02も加算されAFが0.04となりました。3日目と4日目は前日の最値を更新できなかったのでEPもステップ値も変化しません。5日目は高値を更新したのでAF値が0.06になりました。このように計算を続けていくと14日目にAF値が上限の0.2に到達しました。この日以降はどれだけ高値が更新となってもAF値は0.2のままとなります。

パラボリックSARの表

それではパラボリックSARの値を正確に把握するために、パラボリックSARの値を算出するための計算式に当てはめていきましょう。実際のチャートも確認しながら進めていきます。

パラボリックSARの計算式

以下MT4の日足チャート画像にあるローソク足の右端「A」のパラボリックSARを、ステップ0.02、上限0.2として計算します。青線の右側はSARがローソク足の下にあるため上昇トレンドを表しています。前日のSARは下側に黄色矢印で示した赤点110.137円、青線右側のEPの最高値は黄色矢印上側の112.186円になります。AFはEPがEP1、EP2と2回更新されているので「0.02×2=0.04」です。先ほどの計算式に「前日のSAR=110.137円」、「AF=0.04」、「EP=112.186円」を代入してみると「SARが110.219円」と算出され、これの値がローソク足AのパラボリックSARの値となります。

パラボリックSARを計算する

パラボリックSARの元画像

実際にSARが110.219円と算出されたチャートをMT4に表示させると以下の画像のようになります。今回おこなった計算はMT4が自動的に計算するので、詳しく覚える必要はありません。どのように計算がおこなわれているかを知っておけば将来のFX取引やEA稼働において役立つことがあるかもしれません。

算出したパラボリックSARの画像

MT4で開発されるパラボリックSARのEA

パラボリックSARは裁量トレードで頻繁に使われているテクニカル指標ですが、MT4で使用できるパラボリックSAR のEAも良くみます。EAのプログラミングでは上記で説明してきたように、パラボリックSARがローソク足の下にあれば上昇トレンドと判断し買いを入れ、ローソク足より上にあれば下降トレンドと判断して売りをいれるというロジックでポジション保有が実行されます。

当社ではパラボリックSARをトレンド判断のツールとして有効であると考えているため、現状の相場を確認しながらパラボリックSARを活用したEAを開発することがあります。当社で配布しているMT4で稼働できるEAは無料ですのでご興味のある方はページ訪問をきっかけにEAを取得してみてください。

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