ボリンジャーバンドでのFXトレードとEA
ボリンジャーバンドとは、アメリカのジョン・ボリンジャーが考案した相場の買われすぎや売られすぎ、相場の上昇や下降といったトレンドの始まりや終了を判断できるテクニカル指標のことです。株式トレードやFXトレード、MT4で使える自動売買ソフトのEAでも頻繁に使われています。
ボリンジャーバンドを徹底解説
ボリンジャーバンドの誕生と基本概要
ボリンジャーバンドは1980年代にアメリカのジョン・ボリンジャーによって考案された比較的新しいテクニカル指標です。ジョン・ボリンジャーは1950年生まれでボリンジャーキャピタルマネージメントという投資会社を経営しています。
ボリンジャーバンドは表示しているチャートに「ミドルライン、±1σ(シグマ)、±2σ(シグマ)、±3σ(シグマ)」というラインを描きます。ミドルラインは一定期間の単純移動平均線、シグマラインは移動平均から求められる標準偏差値で計算されます。標準偏差値とは、学生時代におこなわれたテスト成績で使われた偏差値と同じ考えた方で求められます。
これからボリンジャーバンドを詳しく説明していきますがボリンジャーバンドの計算式を理解することにメリットはないため標準偏差という統計学の考え方で作られているとだけ伝えておきます。今回はFXトレードで利益をだすためにボリンジャーバンドをどのように活用するのが最適かをご案内します。
ボリンジャーバンドの拡大期、収縮期、停滞期
ボリンジャーバンドには相場状況を表す3つのパターン「拡大期、収縮期、停滞期」が存在します。相場全体で「拡大期は10%、収縮期は20%、停滞期は70%」出現すると言われています。
以下MT4のチャート画面をみるとボリンジャーバンドが上下に広がっていることが分かります。これは「拡大期」の特徴であり、相場が一定方向に動き続けるトレンド状態であることを表しています。
以下のボリンジャーバンドの形は「収縮期」を表しています。収縮期には「第一収縮期」と「第二収縮期」があり、第一収縮期は赤色の枠Aのようにトレンド方向とは反対側の3σラインが収縮した時から始まります。第二収縮期は青色の枠Bのようにトレンド方向にある3σが収縮した時から始まります。
第一収縮期はトレンドの衰え、第二収縮期はトレンドの終わりを示唆しています。第二収縮期の出現後には、拡大期が訪れることも停滞期が訪れることもあります。
以下のボリンジャーバンドの形はトレンドのない「停滞期」を表しています。画像をみると狭い範囲を相場が上下していることが分かります。赤色でマークされた部分をみると±3σが上下に広がっているため拡大期のようにみえますが拡大期ではありません。その理由は次の項目で説明します。
拡大期と判断できる条件
以下のボリンジャーバンドが表示されているMT4のチャート画面をご覧ください。拡大期と判断するためには±3σである黄色ラインが上下に広がっていることに加えて、青色の矢印で示した足の終値が、白色の矢印で示した一つ前の足の+3σの位置よりも上にあることが条件になります。
FX相場が下降トレンドであれば拡大期は、赤矢印のようにボリンジャーバンドが上下に拡大していることに加えて、以下画像の青色矢印ように白色矢印の-3σを下抜いている必要があります。
以下MT4のチャート画面はボリンジャーバンドの±3σが上下に拡大しているため拡大期のようですが拡大期ではありません。青色の横線は前の足の+3σの位置を横に伸ばしたものですが上抜いたものはありませんので「停滞期」と判断されます。
拡大期でのFXトレード
拡大期はトレンドの方向性を掴みやすいため利益獲得が期待できるチャンス相場です。以下MT4の日足チャートをみると、緑色の矢印ポイントで終値が前の足の+3σを上抜いており、±3σも拡大しているため拡大期で買いエントリーのチャンスかもしれません。
エントリーチャンスを正確に捉えるため、全体の相場の流れが把握できる週足チャートに切り替えてみると、週足チャートでも拡大期となっていることが分かったため買いエントリーをおこないます。なお、週足チャートが停滞期や収縮期である場合、損失を被るケースが多いためエントリーを見送るのが一般的です。
エントリー後は決算ポイントを把握しましょう。基本的には決済ポイントを3つに分けて実行していきますので以下の日足チャートをご覧ください。1つ目の決済ポイントは拡大期から第一収縮期に入った赤色矢印のポイントの終値で購入通貨量の5割を決済します。10万通貨購入している場合は5万通貨の決済になります。
2つ目の決済ポイントは日足チャートが第二収縮期に入った青色矢印のポイントの終値となり購入通貨量の3割を決済します。10万通貨購入している場合は3万通貨の決済になります。
残りの購入通貨量の2割は週足チャートを表示して決済しますので、以下MT4の週足チャートをご覧ください。3つ目の決済ポイントは週足チャートが第二収縮期に入った青色矢印の終値で全ての購入通貨を決済します。
最後に、今回のように日足チャートが収縮期に入ってもトレンドは伸び続けることがあります。日足チャートの収縮期で利益を確定させて購入通貨を少しだけ残して週足チャートで決済することにより、利益をさらに伸ばすような取引の工夫もできることをご案内しました。
拡大期での5つの損切りポイント
1つ目の損切りポイントとして、以下MT4の日足チャートの画像をご覧ください。拡大期となった緑色の矢印部分で買いエントリーした後、トレンドとは反対側の-3σ(赤色の枠部分)が収縮をして第一収縮期がはじまりました。通常はこのポイントの終値で購入通貨量の5割を決済して利益を確定するのが理想なのですが、この時点で買いエントリーのレートを下回っているため購入通貨の全てを決済して損切りをします。
2つ目の損切りポイントとして、以下MT4の日足チャートの画像をご覧ください。拡大期になり緑色の矢印部分で買いエントリーした後、トレンドとは反対側の-3σ(赤色の枠部分)が収縮をして第一収縮期がはじまりました。この足の終値で決済すると大損失となりますのでボリンジャーバンドのミドルライン(白のライン)に到達した時点で購入通貨の全てを決済して損切りをおこないます。
3つ目の損切りポイントとして、以下MT4の日足チャートの画像をご覧ください。拡大期になり緑色の矢印部分の終値で売りエントリーした後、トレンドとは反対側の+3σ(赤色の枠部分)が収縮をして第一収縮期に入ったので、このポイントの終値で購入通貨量の5割を決済して一部を利益確定させます。
次にトレンド方向にある-3σ(青色の枠部分)が収縮をして第二収縮期がはじまりました。通常はこの足の終値で購入通貨量の3割を決済するのですが、エントリーポイントに到達したため残りの購入通貨を全て決済して損切をします。第二収縮期に入る前にエントリーポイントに到達した場合も同様です。
4つ目の損切りポイントとして、以下MT4の日足チャートの画像をご覧ください。拡大期になり緑色の矢印部分の終値で売りエントリーした後、トレンドとは反対側の+3σ(赤色の枠部分)が収縮をして第一収縮期に入ったので、このポイントの終値で購入通貨量の5割を決済して一部を利益確定させます。
その後、青色の矢印部分で第二収縮期に入る前にエントリーレートに到達しました。このような場合は残りの購入通貨量の全てを決済して損切をします。今回のように第一収縮期の決済で利益が出ていれば、このFXトレードでの利益が確定します。
5つ目の損切りポイントとして、以下MT4の日足チャートの画像をご覧ください。拡大期に入り緑色の矢印部分の終値で買いエントリーをおこなった後、トレンドとは反対側の-3σ(赤色の枠部分)が収縮をして第一収縮期に入ったので、このポイントの終値で購入通貨量の5割を決済して一部を利益確定させます。
その後、青色の枠部分でトレンド方向の+3σが収縮し「第二収縮期」に入りました。青色の矢印部分の終値でも利益が出ているので、通常通り購入通貨量の3割を決済します。購入通貨の残り2割は週足チャートで決済しますので次にお進みください。
日足チャートから切り替えた、以下MT4の週足チャートの画像をご覧ください。
青色の枠部分で+3σが収縮して第二収縮期に入りました。通常は青色の矢印部分の終値で購入した通貨の全てを決済するのですが、ここに至るまでに黄色の矢印部分でエントリーポイントと同じレートに到達しています。第二収縮期に入る前にこのポイントに到達した場合は残りの全ての通貨を決済します。このようなFX取引であれば週足チャートでの決済でも損失が発生することはありません。
以上が損切りポイントの説明となります。なお、日足チャートが拡大期で、週足チャートが停滞期や収縮期の場合は取引を控えたほうが良いでしょう。
収縮期でのFXトレード
日足チャートが収縮期であれば週足チャートがどのような状態であってもFXトレードはおこなわない方が良いでしょう。収縮期の相場はとても読みにくいためエントリーのリスクが高いといえます。拡大期または停滞期となるのを待ってからFXトレードするようにしてください。
停滞期でのFXトレード
ボリンジャーバンドを参考にしながらFX取引をおこなう場合、日足チャートも週足チャートも拡大期であるのが理想ですが、拡大期は相場全体の1割でしかみられないため取引チャンスに出くわすことがあまりありません。相場全体の7割を占める停滞期でも利益獲得のチャンスのある相場がありますので、ここでは停滞期でのFXトレード方法について案内していきます。
停滞期の相場では為替レートが黄色のラインの±3σの間を上下することが多く、その特徴を利用して+3σに近づいたら売り、-3σに近づいたら買いという取引ルールで取引ができます。具体的には±3σよりもひとつ内側にある赤色のライン±2σが取引の目印となります。
以下MT4の日足チャートは停滞期の画像です。緑色の矢印部分の終値が+2σのラインを上抜いており、その直後に陰線のローソク足が出現しました。このような相場では為替レートが-3σに向かって下がっていくことが多いと言われています。陰線の終値が白線のミドルラインよりも下にいると利益獲得は難しいのですが、今回は陰線の終値がミドルラインよりも上にあるためチャンス相場になる可能性があります。
次に全体の相場の流れをみるために週足チャートに切りかえます。以下はMT4の週足チャートであり、緑色の矢印部分が上記画像の日足チャートの売りエントリーのポイントと同じです。週足チャートを見るとボリンジャーバンドは拡大期を過ぎて収縮期となっているため今後レートが下降していくと予想されます。日足チャートでも週足チャートでもレートが下がる方向で一致したため、売りポジションを保有します。
売りポジションの保有後にどのように相場が動いたかを見るために上記の週足チャートを日足チャートに切り替えたものが以下になります。赤矢印のポイントで売りポジションを保有した後、予想とは反対方向に動きましたが、その後レートが下がっていきました。決済ポイントは黄色の矢印部分の終値が-1σを下抜いたあと、青色の矢印部分で陽線が出現したポイントです。
次はエントリー後に予想とは反対方向に相場が動いた場合の損切りポイントを説明します。以下MT4の1枚目の日足チャートをご覧ください。赤色の矢印部分で売りエントリーをおこなったが予想とは逆方向に動いてしまった場合、前の足の+3σのポイントに到達した時点(青色のライン)で損切をおこなってください。
その足の終値で損切しない理由は、以下MT4の2枚目の画像のように急激なレート上昇によって損切が遅れて大損失となる可能性があるからです。
次は日足チャートも週足チャートも停滞期となっている場合のFXトレード例をご案内しますので、以下MT4の日足チャートをご覧ください。緑色の矢印部分のローソク足が、前の足の+2σのポイントを上抜いた後に拡大期に入ることなく陰線が出現しました。これは売りエントリーのサインです。
上記チャートの週足チャートが以下画像になり、緑色の矢印部分は同じエントリーポイントになります。週足チャートのエントリーポイントがミドルラインより上の赤枠の位置にあれば売りのエントリーサインですので売りのタイミングです。週足チャートも日足チャートと同様に、停滞期に+3σに近い位置にあれば下降しやすく、反対に-3σに近ければ上昇しやすいというサインになります。
ここまで日足チャートが停滞期で、週足チャートが収縮期だった場合と停滞期だった場合でのFXトレード方法を説明しました。残されているのは週足チャートが「拡大期」だった場合ですが、このようなケースはほとんどありません。仮にこのようなケースに遭遇した場合はエントリーを見送るのが正しい選択になります。
MT4で使えるボリンジャーバンドのEA
ボリンジャーバンドはMT4で使えるEAでも良く使われるテクニカル指標です。特にトレンドを判断する際にとても便利なため、当社で開発するEAでも頻繁に使っています。
ボリンジャーバンドは裁量トレード(手動取引)だけでなくEAトレードにおいても有効なテクニカル指標です。当社はMT4専用のEAを開発する会社であるためボリンジャーバンドの使い方を様々工夫してEAを開発しています。EAは無料で配布していますので、ページ訪問をきっかけにボリンジャーバンドを活用した当社のEAをダウンロードして使用してみてください。