マーチンゲール法でのFXトレードとEA

2017年06月14日

マーチンゲール法とは、ギャンブルの世界で広く使われている取引手法ですが、FXトレード(為替取引)やMT4を活用したEAトレードでも実行されています。シンプルで魅力的な面がありますが、危険度も高い取引手法であるためマーチンゲール法を実行する場合には注意が必要です。メリットやデメリットなどを詳しく解説していきます。

マーチンゲール法の誕生について

マーチンゲール法は18世紀、フランスのマーティギューという地域にあったカジノのコインの表裏を当てるゲームで、損失時に掛け金を倍に増やしながら取引を実行してく手法が起源だといわれています。マーチンゲールという名称はマーティギューという地名に変化が加わりマーチンゲールという言葉になったという説もあります。ギャンブルの世界においては最も古典的な取引手法であり、コインゲームのみならずルーレットや競馬や競艇などの公営ギャンブルでも広く利用されています。現在ではFXでの裁量トレード(手動取引)やMT4を活用したEAによる自動売買においてもマーチンゲール法が広く活用されています。どのような取引をおこなう方にもマーチンゲール法の基本的な考え方や取引手法は同じですのでその特徴を解説していきます。

基本的なマーチンゲール法の取引手法

マーチンゲール法の取引手法はとても単純で、「金額をベットして負けた場合、次の勝負では掛け金を倍に増やしてベットする、また負ければ2回目にベットした金額の倍額を掛けてベットする」という掛け方を繰り返していく取引手法です。勝利をすると賭け金の倍額が戻ってくることになりますので、最初にベットした金額が利益となり戻ってくるという仕組みです。

下の表のように、マーチンゲール法は負けが続けば賭け金がどんどん増え、どの時点で勝ったとしても獲得できる利益は1回目に賭けた掛け金の100円です。どれだけ負けが続いても勝利すれば合計損失をすべて取り戻し、必ずトータルで利益が獲得できます。このような取引手法はMT4に導入できるEAでも良く開発されていますのでメリットやデメリットを理解することはとても大切といえます。

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意外に知られていない勝ち負けの確率

コインの表裏を当てるゲームで勝つ確率は50%なので負ける確率も当然50%です。2回連続で負ける確率は「0.5×0.5=0.25」、つまり25%の確率で2連敗するということになります。このように計算を繰り返し、各連敗回数の出現確率を算出したのが下の表です。

この表をみれば10連敗の確率は0.1%となることが分かります。それでは9連敗した後、10回目の勝負をおこなった場合の勝つ確率は99.9%かというとそうではなく50%になります。あくまでも10回連続で負ける確率が0.1%なのであって、10回目に負ける確率が0.1%ではないということがマーチンゲール法を知る上での大きなポイントになります。

表裏を当てるコインゲームでの勝ち負けの確率は、どれだけ連敗をしていても常に50%であり、100連敗している場合でも101回目に負ける確率は50%になるのです。マーチンゲール法を知る上で「何連敗をしても次に負ける確率(勝つ確率)は常に同じ」ということを知ることはとても大事なことです。これは数学でいう「独立事象」という確率論の話になります。

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マーチンゲール法に潜む大きな危険

マーチンゲール法を活用すれば連敗を重ねても1回の勝利により利益がでるというメリットを説明してきましたが、マーチンゲール法は完ぺきな取引手法ではなく大きな危険があることも理解しなくてはなりません。意外に知られていない勝ち負けの確率で表裏を当てるコインゲームで10連敗する確率はわずか0.1%ということを解説しましたが、確率が0ではないことを理解した上で以下画像をご覧ください。賭け金100円からスタートをして15回目まで勝負が長引いた場合に、どれほど賭け金が膨らむかを示したものになります。

100円でスタートしたのに15回目の賭け金が160万円を超え、賭け金の累計は300万円に達します。そして15回目で勝利となった場合でも獲得する利益は100円となるため、この取引はハイリスクでローリターンということになります。ちなみに14連敗する確率は0.006%、15連敗する確率は0.003%となります。

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FXでのマーチンゲール法の使い方

FXはコインの裏表を当てるゲームのように上がるか下がるかを当てる勝負であるためマーチンゲール法で取引をおこなう投資家が一定数の割合でいます。FXの場合は「購入レートから10pips上がったら勝ち、10pips下がったら負け」という取引ルールを決めて取引おこないます。MT4で使うことのできるEAの場合は取引ルールをプログラミングして自動売買による取引をおこないます。

マーチンゲール法は負け続けると発注量(賭け金)が大きく膨らむため最初の発注量は少なく設定することが大切です。ほとんどのFX会社は最低発注量を1,000通貨に設定していますので1,000通貨から取引するのが一般的です。取引通貨ペアを米ドル/円(USD/JPY)として1ドルが100円だと仮定した場合、10pips負けると1,000円の損失となり次の発注量は2倍の2,000通貨となります。さらに負けてしまうと発注量を2倍の4,000通貨として勝利するまで取引を繰り返していきます。MT4でプログラムに計算式を入れてマーチンゲール法のEAを作成すれば発注量を計算する必要がなくなります。このような取引をおこなった場合の発注量の増加を示したのが下の表になります。

FXにおいても負けるたびに倍の発注量に増やしていくと、10回目の取引では50万通貨以上の発注がおこなわれます。もしこの10回目のトレードで負けてしまうとトータル損失は100万円を超えるため心臓に悪い取引をみることになります。そして、どの時点で勝利をしても利益は1,000円になるのでマーチンゲール法を使用した裁量トレードやEAトレードはコインゲームと同様にハイリスクでローリターンということになります。

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FX取引でのマーチンゲール法を解説

コインの表裏を当てるゲームの勝ち負けの確率は50%ですが、FXの場合は取引コストが存在するため勝ち負けの確率が50%になることはありません。取引コストとは「スプレッド、発注手数料、スリッページ」のことを指します。発注手数料がゼロでスリッページがほとんど発生しないFX会社は海外FX会社に多く存在しますが、スプレッドに関してはどのFX会社にも必ずあります。MT4が使える海外FX会社での平均スプレッドは2pips程度となります。

FXでは「購入レートから10pips上がったら勝ち、10pips下がったら負け」というルールを決めてもスプレッドが2pipあれば発注時に2pips分の損失を受けた状態から取引が開始されるため、実質的には12pips上昇しなければ勝ちになりません。この状況を計算してみると勝ち負けの比率は10pips対12pipsで約45対55となり、勝つ確率は45%、負ける確率は55%になります。勝ち負けの確率を50%に近づけるためには10pipsという取引ルールを「購入レートから100pips上がったら勝ち、100pips下がったら負け」と変更すれば2pipsのスプレッドを入れても102pips上昇したら勝ちとなるため勝率は49.5%になります。しかし、100pipsも為替レートが動くにはかなりの時間がかかるため取引を頻繁におこなうことができなくなります。

さらに勝った時の利益は1,000円です。200万円以上の証拠金を必要としながら、このような取引をおこなったのでは、資金効率が悪く、連敗回数次第では100万円以上の資金損失が出るおそれがありますので、FXでの取引手法としてマーチンゲール法は非常にリスクが高い取引手法といえます。

MT4でマーチンゲール法のEAを見極める

MT4に導入できるEAにもマーチンゲール法のEAが沢山存在しています。EAを使うことで手動取引や発注量計算などが不要になるため便利です。MT4にEAを設定すれば「購入レートから10pips上昇したら勝ち、10pips下降したら負け」などのルールに従って取引を自動的におこなってくれます。

手元のEAがマーチンゲール法のEAであるかはMT4でバックテストをおこないグラフ結果をみれば簡単に分かります。マーチンゲール法を活用しているEAは共通して以下画像のようなグラフになります。まず青線は証拠金の増減、緑線は発注量を表していることをご理解ください。赤枠内の青線はEAが連敗を繰り返して発注量を増やし勝利したため証拠金が一気に回復したことを示しています。このようなグラフはマーチンゲール法のEAの特徴となりますので簡単に見極めることができます。なおグラフ結果はMT4でバックテストを実行しなくてもEAを取得したサイトなどに公開されているのが通常です。

また数字が小さく見えづらいのですが左下の「0」から右下の「669」は取引回数を表しています。この数字が「0」から「300」程度と極端に少ない場合、資金が破綻しそうな状況を意図的に隠している可能性がありますので、このようなマーチンゲール法のEAを利用したり購入したりするのは控えた方が良いでしょう。

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MT4でマーチンゲール法ではないEAをバックテストするとグラフ結果は以下のようになります。マーチンゲール法のEAのように証拠金の急激な増減はなく、発注量を示す緑線にも急激な動きはみられません。

mar_6 解説は以上となります。マーチンゲール法のEAは美しい右肩上がりのグラフとなることが多く、表面的な利益をすぐに体験できることから魅力的に感じる方が多いようですが、当社ではマーチンゲール法はハイリスク・ローリターンと考えているためMT4に導入できるマーチンゲール法のEAの開発はおこなっておりません。マーチンゲール法とは異なるロジックのEAを無料で提供していますのでページ訪問をきっかけに是非、無料EAをご覧いただき取得してみてください。

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