ECB政策金利発表でのFXトレードとEA
ECB政策金利発表とは、欧州中央銀行(ECB)が月に1度発表をする金融政策のことで、FXトレードの世界ではアメリカの雇用統計やFOMCに次いで為替相場に大きな影響を与える重要経済指標と考えられています。ユーロ関連の通貨ペアに影響することが多いためMT4でユーロ関連のEAを稼働させている方は特に注意が必要です。
ECB政策金利を徹底解説
ECBと政策金利の基本概要
ECB(European Central Bank)はEU(欧州連合)の機関であり、日本では欧州中央銀行と呼ばれています。単一通貨であるユーロを採用しているEUの金融政策を担っている中央銀行で、日本銀行と同様の機能であると考えれば分かりやすいです。
ECBは6人の役員とEU各国の中央銀行の総裁で構成されています。主に金融政策や政策金利の決定、金融政策実行のためのガイドラインの作成などをおこなっています。ECBの会合は月2回開かれます。1回目の会合では政策金利や金融政策に関する内容が発表され、その後、記者会見にて発表された内容についてECB総裁が発言します。2回目の会合では金融政策以外のことが討議されますが一般に向けた発表はありません。
特にECBの政策金利の発表は世界中から注目されます。EUの各国にある中央銀行が、一般の銀行にどれだけの金利でお金を貸し出すか決定されるからです。EUの物価が上昇しておりインフレ状態と判断されれば政策金利が上がり、一般の銀行は中央銀行からお金が借りにくくなります。世の中に出回る通貨量を少なくして行き過ぎた景気(バブル景気)やインフレをコントロールするという考えです。反対に物価が下落しておりデフレ状態と判断されれば政策金利を下げて、一般の銀行が中央銀行からお金を借りやすくします。世の中に出回る通貨量を増やして物価を上げることで景気を良くしようという考えです。
このようにECBによる政策金利発表はEU全体の経済安定における重要な役割となっているためFXトレーダーはもちろん世界中の投資家や経済関係者が注目しています。
ECB政策金利発表での為替への影響
ECB政策金利発表はECB(欧州中央銀行)が発表する経済指標であるため当然ユーロに対する大きな影響力があります。相場値動きはユーロ関連の通貨ペアから始まりますが、他の通貨ペアにも影響がおよんでいくためユーロ以外でFXトレードをしている方も注意が必要です。
FXトレードの中で一番大きな取引がおこなわれているのは「ユーロ/米ドル(EUR/USD)」でありFX市場全体の3割にものぼります。ユーロに大きな動きがあるということは、米ドルに対する影響も大きくなりますので、米ドルが関係する通貨ペアである「米ドル/円(USD/JPY)や米ドル/ポンド(USD/GBP)」などのメジャー通貨ペアにも大きな相場変動が起こることがあります。つまりユーロが大きく変動すると為替相場全体に影響がでるため、ECB政策金利発表では為替相場全体に広く目を向ける必要があります。
MT4に導入できる自動売買ソフトEAは、ECB政策金利発表などの経済指標によって変動する為替相場でのFXトレードを得意としていないため、ECB政策金利の発表前後はMT4でのEA稼働を停止することが大切です。ECB政策金利発表でEAを稼働させることで大きな利益を獲得することもありますが、大きな損失となることもありますので、この場面でのEA稼働はギャンブルに近いものになります。ECB政策金利発表でのFXトレード
ECBによる政策金利発表と良く似たものにアメリカの代表的な経済指標であるFOMCがあります。どちらも為替相場に大きな影響を与えることからFXトレーダーには注意すべき経済指標になりますが、ECB政策金利はFOMCよりも事前情報が少ないため、最終的な結果がどのようになるか予測できません。そのため初心者のFXトレーダーはECB政策金利発表の前後でのFXトレードを避け、為替相場が落ち着いてからFXトレードを再開することをお勧めします。
ECB政策金利の発表内容が予測困難なのはECBのメンバーの構成が複雑であることが理由です。アメリカのFOMCは構成メンバーがアメリカ人であるためアメリカの利益を優先に内容が決定していきますが、ECBの構成メンバーはEUに加盟する各国の中央銀行総裁となるため、どうしても自国の利益のためという思惑が入ってしまい、金融政策の方向性にばらつきが出ます。ECB政策金利の発表前には専門家による予想も発表されますが、FOMCに比べると予想が外れることが多く、予想が外れて為替相場が乱高下することもあります。
このような為替相場でのFXトレードは豊富な経験と知識がない限りは控えるべきで、ECB政策金利の発表後しばらくたってからFXトレードを再開するのが良いでしょう。MT4でEAを稼働している方も同様に、ECB政策金利の発表前後は通常とは異なる相場変動が起こる危険性があるためMT4でEAの稼働を停止し、しばらくたってからEAでの取引を再開すると良いでしょう。
なお、アメリカのFOMCでのFXトレードやEA稼働について知りたい方はFOMCでのFXトレードとEAのページで詳しく解説していますのでご覧ください。ECB総裁発言にも注意が必要
ECB政策金利が発表された約1時間後にはECB総裁による記者会見がおこなわれます。記者会見では政策金利や金融緩和などについての補足などをECB総裁が発言しますが、内容によってはECBの政策金利の発表よりも為替相場を動かすことがあります。特に金融緩和の方向転換や変更などを発表した場合は為替相場が一気に動きます。
専門家らはECB総裁の発言内容の予想をしますが、金融政策は多岐にも渡る内容であるため正確な予想は困難です。専門家の予想よりもユーロ経済に良い内容であればユーロは買われ、反対に予想よりも悪い内容であればユーロが売られる展開となります。ECB総裁発言により相場が動くと大きな変動となることが多いため、政策金利発表で相場が動かなかったからといってFX取引やEA稼働を再開させるのは危険です。ECB政策金利発表が完全に終わるまでは為替相場を見定めることが重要になります。
ECB政策金利発表時のEA稼働
MT4で自動売買ソフトのEAを稼働している方は、ECB政策金利発表時でのEA稼働は控えた方が良いでしょう。EAは過去の値動きデータから将来の値動きを予測して、チャンス相場でトレードをおこなうようにプログラムされているため、経済指標や要人発言のような人為的に起こる値動きに対応することや予測することができません。これは全世界のすべてのEAに対して言えることです。
このような予想不可能な相場では、EAが運良く対応できて利益を上げることもありますが、思わぬ損失となることも多いためMT4でEAの稼働を停止するか、MT4でEAの取引ロット数を調整してリスクを下げるのがセオリーです。
当社では過去10年以上にさかのぼりECB政策金利発表時でのEAトレードにおけるパフォーマンスを調査してきましたが、やはりECB政策金利発表やECB総裁発言でEA稼働をさせるとトレードパフォーマンスが落ちるという結果になりました。為替相場が大きく変動するときはFXトレードのチャンスにも思われますが、実際にはメリットよりもデメリットのほうが大きくなります。
これらの理由からECB政策金利発表やECB総裁発言でEA稼動をおこなう場合は、MT4で取引ロット数を調整するか、EAによる取引自体を控えることを推奨しています。為替相場が確実に落ち着いてきたことを確認してからEA稼動を再開することをお勧めします。
なお、当社がMT4で開発しているEAは、全て無料で取得いただけます。ご興味のある方は無料EAのボタンをクリックしてMT4で使用できるEAを申請してください。