米国の雇用統計でのFXトレードとEA
米国(アメリカ)の雇用統計とは、米国の雇用情勢を調べた景気に関連する経済指標のことで毎月第一週の金曜日に発表されます。雇用統計発表時には為替や株価などが動くことが多いため、FXトレーダーのみならず全ての投資家が注目している重要な経済指標となります。MT4でEAトレードをおこなっている場合は稼働停止をおこなうことをおすすめします。
米国の雇用統計を徹底解説
米国の雇用統計の基本概要
米国の雇用統計とは、アメリカ国内の雇用情勢を調べた景気に関連する経済指標のことであり毎月第一週の金曜日に発表されます。米国の失業率に加えて非農業部門雇用者数、製造業就業者数、小売業就業者数、週労働時間、平均時給、労働参加率などが発表されます。主要国による重要な経済指標の発表は相場の方向性を決めることが多く、その中でも米国の雇用統計とFOMCの発表は世界で最も相場が変動する経済指標といっても過言ではありません。
米国の雇用統計の中でも、失業率と非農業部門雇用者数の内容はとても重要視され、特に非農業部門雇用者数は内容次第で相場を大きく動かします。例えば、失業率は改善されているが非農業部門雇用者数が減っているという場合や、非農業部門雇用者数が増加しているが予想数値よりも結果が悪かった場合などでは経済の先行きに不透明感が広がりドルが売られる傾向となります。
雇用統計の発表前後はFXトレードをおこなわないというのが一般的な考えになりますのでMT4でEAの稼働をしている方も雇用統計の発表前後は取引を停止しておくのが一般的な考え方になります。
米国の雇用統計でのFXトレード
米国の雇用統計はFOMCと肩を並べる重要経済指標ですが、FOMCよりも発表内容の事前予想が難しいことからFXトレードは控えるのが通常です。事前予想が困難な理由は、雇用統計の発表項目は多岐に渡るため、一部の内容が優れていても別の項目が悪化していればドル売りや反対の動きとなることがあるからです。MT4で使えるEAはそもそも経済指標でのトレードを得意としていないためMT4で取引ボリュームを調整するか、EAの稼働を一時的に停止するのが基本となります。
雇用統計の発表前後は為替相場が大きく動くため、ポジションを仕込みたいと考える方が多いのですが、相場がどのように動くかを事前予測することは難しいため、最低でも発表後の値動きをみてからFXトレードをおこなうのが良いでしょう。一般的には雇用統計の発表から相場が落ち着いたことを確認した後にFXトレードをおこなうのが基本です。相場は一方向に急激に動くと、バネのように反対方向に急激に戻っていく傾向があるため、油断をせずに相場の監視をおこなうことも忘れないようにしてください。急激に相場が上下することを「相場の乱高下(らんこうげ)」もしくは「ジェットコースター相場」と呼びます。雇用統計の発表前後は値動きが激しくなるため、スプレッドが一時的に数倍から十数倍に膨らむことや、スリッページが発生して発注レートとは大きくずれることもありますのでFXトレードおこなう場合には合わせて注意が必要です。
冒頭でも説明しましたが、雇用統計ではどのように相場が動くか予測することが難しいためFXトレードは控えるべきです。特に経済指標でのFXトレードを苦手としているMT4でのEA稼働はしない方が良いでしょう。雇用統計の発表による影響がおさまり次第、FXトレードを再開することがベストです。なお、FOMCでのFXトレードについて知りたい方は、FOMCでのFXトレードとEAのページをご覧ください。
米国の雇用統計でのEAトレード
MT4を使用して自動売買ソフトのEAを稼働している方は、米国の雇用統計発表時でのEA稼働は控えた方が良いでしょう。
MT4で使える自動売買ソフトであるEAは、過去のチャートの値動きから将来の値動きを予想してFXトレードをおこなうため、過去のデータからは予測ができない現在の経済指標を織り込んで取引することができません。もちろんタイミング良くEAが取引をおこない利益をあげる可能性もありますが、損失となる可能性もあるためギャンブル性が高いといえます。
当社は長年にわたりMT4を使って米国の雇用統計などの重要指標発表時の為替相場を研究していますが、やはり重要指標発表時にEA稼働をさせた場合は、利益よりも損失となることが多くなります。そのため雇用統計を含む重要指標発表時にはMT4でEAを停止させることをおすすめします。為替相場に重要指標発表の影響がなくなってから、MT4でのEA稼働を再開させるのが良いでしょう。
なお、MT4で開発をしている当社のEAは全て無料でご取得いただけます。興味のある方は以下ボタンから無料EAを申請していただければ申請IDにEAを設定してお渡しします。
米国の雇用統計で発表される指標を解説
米国の雇用統計の発表ではいくつかの指標が発表されます。各種指標について解説していきます。FXトレードでここまで調べる方はいませんが、FXトレードやMT4でのEAトレードの参考となれば幸いです。
失業率
失業率は、基本的に失業者数を労働力人口で割って数値化されますが、各国により失業者数や労働力人口の算出方法が異なります。アメリカの失業者の定義は、調査期間中に就業可能でありながら就業をせず、過去4週間以内に求職活動をおこなった者となっています。労働力人口の定義は、16歳以上の人口から高齢や病気、犯罪などの理由で施設に入り働けない人を除いた中で働く意志を持っている人となります。
失業率は前月と比較して数値化されますが、前月よりも失業率が増加している場合、国の景気が悪くなり失業者が増えたと判断されるため、ドルの価値が下がりドル売りが目立つようになります。反対に質量率が前月よりも減少している場合は、雇用が順調であると判断されてドル買いとなる傾向にあります。
非農業部門雇用者数
非農業部門雇用者数とは、アメリカで農業以外の産業に従事している労働者数のことであり、経営者と自営業者は含まれていません。非農業部門雇用者数では前月に比べてどれぐらい増えたかを数値で表しますが、数値が予想値よりも低い場合は、雇用の伸びが悪かったことを意味するためドル売り傾向となります。反対に予想以上の数値となった場合はドル買いとなります。
製造業就業者数および小売業就業者数
米国の雇用統計の中でも製造業就業者数と小売業就業者数はとても景気に左右されやすいため必ず注目が集まります。ただし、この数値が直接相場に影響を与えることはほとんどないため、非農業部門雇用者数の内訳的に参考指標として見られます。
週労働時間
週労働時間では非農業部門の就業者が労働をおこなった平均時間を表します。この指標は鉱工業生産や個人所得に関連する指標なのですが、月毎の変化はほとんどないため予想値ともほぼ一致します。そのため週労働時間が相場に大きな影響を与えることがないためFX取引で意識する必要はないでしょう。
平均時給
平均時給は主要産業における1時間あたりの平均手当額です。前月比と前年比により示され人件費の増減を測る指標になります。平均時給の増減は物価にも影響を与えるため、インフレの見通しを判断する指標にもなります。特にFOMC政策金利発表で市場が利上げ期待となっている場合はとくに注目されます。平均時給が予想値を上回ればインフレが進み利上げが期待できるためドル買いにつながることが多くなります。
労働参加率
労働参加率とは、失業率で説明をした「労働力人口」が生産年齢人口(16歳以上の人口から高齢や病気、犯罪などの理由で施設に入り働けない人を除いた者)に占める割合のことです。つまり「働ける人のうち、働く意志がある人の割合」のことであり通常は失業率とセットで見られます。
例えば、失業者数に変化がない場合でも労働参加率が上昇していれば相対的に失業率は減少します。反対に労働参加率が下降していれば相対的に失業率が増加します。もし失業率が減少しているのにドルが売られている、失業率が増加しているのにドルが買われているという場合は労働参加率と関連しているケースが多くなります。
以上で、米国の雇用統計に関する解説は終了となります。FXトレードをおこなう方やMT4でEA稼働を考えている方の参考になれば幸いです。