失業率が下がったのに、なぜドル買いが進んだのか
今週は米経済指標の弱さや先週のギリシャ政局問題などで不安定な動きになりました。
最大のイベントはやはり米雇用統計。
前回雇用統計では、失業率は良化したものの平均時給(前月比)がマイナスになるという結果を受けてドル売りの展開になりました。
今回の雇用統計では、その平均時給(前月比)も予想の0.3%を上回る0.5%、非農業部門雇用者数が予想22.8万人に対して、25.7万人、民間部門雇用者数は予想22.2万人に対して26.7万人、製造業雇用者数は予想1.2万人に対して2.2万人と強い内容になりました。
一方、失業率は前回の5.6%から5.7%(予想は5.6%)へ悪化しました。
これは労働参加率が前回62.7%から62.9%に上昇した事に関連しています。
どういうことかというと、労働参加率というのは16歳以上の人口(生産年齢人口)のうちで、働く意思をもった人(労働力人口)の割合です。
労働参加率は一般的には労働環境の改善により上昇します。
つまり、環境の改善により職探しをあきらめていた人々が、働く意思をもち始めたことを意味します。
働く意志がない人々は労働力人口に入らないため、失業者としてカウントされませんが、働く意思をもち始めた人々(求職中の人々)は職が決まるまでは失業者にカウントされます。
そうなると一時的に失業率は悪化します。
今回の失業率の悪化には、こういった背景があるようです。
もちろん今後求職者が無事に就業できれば失業率は改善しますが、雇用環境が追いつかなければ失業率は悪化します。
そしてもし雇用環境が悪化して再び労働意欲を失う人々が多数出てくれば、労働力人口から除かれて、見た目の失業率は改善します。
失業率というのは重要な数値ではありますが、労働力人口の増減によって変動する可能性がありますので、一概に良化悪化だけでは正しい雇用状態の把握はできません。
今後は失業率だけでなくその他の雇用関連の数値にも注目してみてください。
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